肥満の人は歯周病リスクが高まる
肥満症は、健康を害することで知られており、糖尿病や高血圧、脳梗塞、冠動脈性疾患、癌など、さまざまな病気にかかりやすくなることがわかっています。
そして、それだけでなく、近年、歯周病との関連があることもわかってきました。
肥満になる原因とは
若い頃はどんなに食べても太らなかったのに、歳をとるにつれて太ってきた、すぐに太ってしまう、という方も多いのではないでしょうか。
よく言われている肥満の原因は、食べ過ぎと運動不足ですが、加齢によっても肥満が起こりやすくなります。年齢とともに基礎代謝が落ち、生きるために必要なエネルギーは少なくなりますので、若い頃と同じくらい食べていたらエネルギーが余ってしまい、脂肪となり体に蓄積されます。また、歳をとるにつれて運動する機会が減るので消費エネルギーも少なくなるため、より一層脂肪がつきやすくなります。これが、中年太りが起こる原因です。
また、ホルモンの変化も肥満の起こりやすさに関係しています。具体的には、糖代謝に関係するインシュリンの働きに関わる性ホルモンが減るということも、肥満を起こりやすくしているとされています。女性の場合は、エストロゲンが減ることにより食欲が増えてしまうということもあるようです。
肥満と病気の関係
脂肪細胞というのは、単なるエネルギーの貯蔵庫ではなく、内分泌器官としての働きがあることがわかっています。具体的には、脂肪細胞からさまざまな物質が分泌されることで、体の代謝をコントロールしていると言われています。
肥満が進み、脂肪細胞が大きくなったり、脂肪の量が増えてしまったり、皮下脂肪と内臓脂肪のバランスが狂ってしまったりすると、糖尿病や動脈硬化、高血圧、高脂血症、血栓症などの病気を起こしやすくなります。
肥満と歯周病との関係
このように肥満は全身疾患との関係が深いですが、歯周病のリスクを高めてしまうこともわかっています。研究によると体脂肪率が5%増えると、歯周病リスクは30%増しに、また、内臓脂肪が多い人は歯周病を起こしやすいと報告されています。
肥満によって免疫力が下がり、脂肪細胞から分泌される物質が歯の周囲の骨を溶かしたり、血流を悪くしたりすることで歯周病のリスクが上がると考えられています。
歯周病は歯を失う原因のトップを占めている病気で、国民の成人の8割がかかっていると言われています。生活習慣病にかからないためにも、歯を失って不便な生活を送らないようにするためにも、肥満と歯周病にはくれぐれも注意していきたいものです。