悪条件(糖尿病・喫煙)のもと、状態が悪い口腔内にインプラントで対処したケースです。
糖尿病で内科に通院しており、なおかつ喫煙を止めることが出来ない患者さんです。インプラントにとって、糖尿病と喫煙習慣は大敵です。レントゲンを見ても、状態の良い歯はありません。
All-on-4が存在しなかった2007年当時に、インプラントでの治療を行いました。当初の治療プランとしては、既に欠損している左下にインプラントを施して左側で噛めるようにし、次に崩壊が進んでいる右上にインプラントを埋入、その後に上前歯という順番で噛み合わせの高さと噛む機能を維持した状態で噛み合わせの崩壊を防ぐ、という計画でした。
稀なケースですが、右下第二大臼歯部に埋入したインプラントが術後1ヶ月で自然に抜けてきました。インプラントの表面には骨がくっついており、糖尿病の影響だと考えられます。写真は自然排出されたインプラントの表と裏ですがほとんどのインプラント表面に骨が付着しているのがわかります。
この部分に再度インプラント埋入を試みましたが、術後のレントゲン写真とCTで確認すると、インプラントは埋めた位置より下に下がっており、下顎管に接触しているので撤去しました。おまけに右上に埋入した3本のインプラントは位置移動が起こり、排出されてきていました。
左下一番奥のインプラントの周囲骨が吸収して無くなっています。右上のインプラントはさらに位置移動が起こっています。
インプラント周囲炎が進行した左下奥歯のインプラントと、右上奥歯のインプラントを撤去しました。
右上のインプラントに対し2次手術を行いましたが、前方のインプラントは骨と結合しなかったため、インプラントを撤去しました。
また下前歯の虫歯が進行し保存不可能となった為、抜歯して上も下もインプラントのみで全ての咬合を再建するボーンアンカードブリッジにすることにしました。
インプラントの自然脱落が相次いだので、長期間経過観察をし、最終的な人工歯を装着しました。
治療期間 | 約10年 |
費用 | 上顎 462万円(税込) 下顎 330万円(税込) |